腰痛の労災認定は難しいですか?

コロナ禍の中、新しい働き方がはじまっています。特に代表的なものはテレワークでしょう。そして、テレワークへの切り替えなどによる労働環境の変化で、腰痛を自覚する人や本当に腰を痛めてしまった人が増えています。そこで、仕事中のぎっくり腰について労災となるケース、ならないケースが分かれるのはなぜなのかみてみましょう。

まず、労働災害は仕事中に負ったケガや病気の全てに認められるものではありません。ケガや病気の発生が、業務に起因し、かつ業務遂行中であることが原則となっています。そのため、仕事中のぎっくり腰でも、業務とは関連性の無い理由で、発症した場合(例えば、仕事中に落とした物を拾おうとした際にぎっくり腰となった等)は、労災と認められる可能性は低いのです。

では、仕事中のぎっくり腰が労災として認められるケースをみてみましょう。ぎっくり腰を含め腰痛は日常生活の中でも起こり得るものであるため、業務に起因すると認めることが難しい場合もあります。そのため、厚生労働省は、「業務上腰痛の認定基準」を定め、労災と認められる腰痛の基準を挙げています。

それは、

【1】災害性の原因による腰痛

【2】災害性の原因によらない腰痛

の2つを定めています。

それぞれ、どのような場合なのかを確認しましょう。

【1】災害性の原因による腰痛

「災害性の原因による腰痛」とは、腰に受けた外傷によって生じる腰痛のほか、外傷はないものの突発的で急激な強い力が原因となって筋肉等が損傷して生じた腰痛です。

  • 腰の負傷又はその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
  • 腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること

例えば、書類を落とした際にかがんで拾う場合は、普段の日常生活でも行う動作です。だから、「仕事中の突発的な出来事」とはいえ無いので、そのような通常動作によりぎっくり腰となっても労災と認められる可能性は低いでしょう。

【2】災害性の原因によらない腰痛

「災害性の原因によらない腰痛」とは、日々の仕事で蓄積された負荷により発症した腰痛をいいます。

主に以下の2つの区分に分けられます。

  • 筋肉等の疲労を原因とした腰痛

次のような業務に、おおよそ3ヶ月以上従事して、筋肉等の疲労を原因とした腰痛を発症した場合、労災の対象となります。

  • 20㎏以上の物品または重量が異なる物品を中腰姿勢で、繰り返し取り扱う業務(例:港湾荷役等)
  • 毎日数時間、腰に負担がかかる不自然な姿勢のまま行う業務(例:配電工等)
  • 長時間座ったままの姿勢で行う業務(例:長距離トラック運転手等)
  • 腰に大きな振動を継続して受ける業務(例:フォークリフト等の車両系荷役運搬機械の運転業務等) 
  • 骨の変化を原因とした腰痛

以下のような業務に、約10年間以上にわたって従事し、骨の変化を原因とした腰痛を発症した場合、労災の対象となります。

  • 労働時間の約1/3以上に及び、30㎏以上の物品を取り扱う業務
  • 労働時間半分以上に及んで、約20㎏以上の物品を取り扱う業務

このように、腰痛の労災に関しては、細かな認定基準が定められています。

社員が「腰痛になったのは業務が影響している」と主張されても、厚生労働省の基準を示すことで、無用なトラブルに巻き込まれることが無くなります。