人事評価の不満が起きる要因とその対処法について

人事評価に不満が起きる要因として、「評価基準があいまい」であることが挙げられます。人事評価の基準が公開されず不透明であったり、明確な基準がなかったりする場合、社員から評価に対する不満が出やすくなります。たとえば、営業職で売上や成約件数等、数字として実績が表れる職種は明確な基準を設けやすいでしょう。しかし、数字として実績が現れにくい職種やチームで取り組む場合、個人の実績を評価に反映しづらく評価があいまいになります。評価があいまいであれば、自分の努力や成果が評価に反映されているかわからず、人事評価に対する不満も増してしまいます。

さらに、「評価にばらつきがある場合」も、人事評価への不満が高まりやすくなるでしょう。

具体的な例として、以下が挙げられます。

  • 売上など定量的な成果だけが反映され、業務の過程が全く評価されない
  • 成果を上げても、最終的に年功序列が優先される

上記のように、評価が一部分に偏ることで公平性が保たれず、社員からの不満を受けやすくなるでしょう。最近は、成果主義の人事評価制度が広まっていますが、わかりやすい成果でないと評価されづらい傾向にあります。目に見えた成果が挙げられなければ、どんなに頑張っても評価につながらない印象を与えてしまい、社員のモチベーション低下につながります。自身の頑張りが評価に反映されなければ、社員の不満はより一層高まるでしょう。

そして、「フィードバックが不十分である」ことも挙げられます。評価後のフィードバックがない場合、「なぜこの評価になったのか」が社員に伝わらず、評価への納得度が向上しません。また、フォローがなければ、自身の成果がどのように評価につながったかわからず、努力する方向性を見失ってしまいます。結果的に、適切なアクションを取れなくなるでしょう。だから、評価後にフィードバックすることで、「どのような課題を解決すれば評価につながるか」が明確になり、前向きなアクションを促し生産性の向上につながります。

また、人事評価の不満を放置するとトラブルのリスクが高まり、労働環境に悪影響を与えることとなります。

主なものとして以下の3つが挙げられます。

  • 人事評価への不満を放置するリスク
  • 社員がやる気をなくし生産性が低下する
  • 退職者が増加する

正当な評価が下されないと、社員は努力しても意味がないと感じてしまいます。そして、評価が適切でなく報酬に満足しなければ、転職する社員が増えてしまいます。仮に退職者が増えれば、社員が会社で積み上げた能力・スキルを失い、穴埋めは可能ですが、採用コストが増えてしまいます。また、退職者が口コミサイトなどで悪い評判を記載してしまうと、企業イメージも悪化し新規採用が難しくなります。人事評価への不満を放置すれば、企業にとって多くの損失につながるでしょう。

では、どのように対すれば良いのかみてみましょう。まず、評価制度が会社の実態に合っているか確認しましょう。人事評価が古いままでは、評価基準が企業の経営戦略とマッチしていない可能性もあります。第一に、自社の経営方針を明確にし、どのような人材が必要か把握することから始めるのがおすすめです。企業の実態を把握したうえで、経営方針にあった人事評価制度を構築しましょう。

そして、人事評価基準があいまいな場合、評価基準を数値などで具体化することが重要です。

たとえば、

  • 営業職→売上や成約件数
  • 事務職→期日までの作業完了率など

数値ベースの評価項目を設定します。明確な数値基準が設定されれば、「この数値を達成すればこれだけ評価される」とやるべき行動が明白になり、評価結果への納得度も高くなります。また、人事評価への不満は、評価制度だけでなく評価者が原因の場合もあります。たとえば、評価に至った経緯などの説明がうまくいかず、社員が評価結果に納得いかないケースが考えられます。客観的かつ公平な人事評価をおこなうためには、評価者に対する教育も定期的におこなうことが必要です。