リスキリングについて

リスキリングは「re-skilling」とつづります。本来は事業ポートフォリオの転換やDX化等によって業務内容が大きく変化することが想定される領域で、新たなスキルを習得するようなケースが該当します。

一方で、報道等では、新しい業務が追加された際に行う部分的なインプット、若手社員に向けたIT教育投資、英語学習等に対しても「リスキリング」と表現するケースがみられます。そのため、広義的に捉えれば、事業戦略の実現に必要な知識・スキルを保有する人材を増やすナレッジマネジメントの取り組み全般も「リスキリング」といえるでしょう。

ただ、自社で施策を導入するうえで重要なのは、従来の「人材育成」と何が違うのか、どの施策がリスキリングといえるのか、という名称や分類方法の議論ではありません。事業戦略の実現のために必要な人材要件を明確化し、そのためにリスキリングが重要な取り組みであることを社員に分かりやすく発信していくことが重要です。そうすることで、リスキリングの対象となるべき社員はその重要性を適切に認識し、よりモチベーションを上げてスキル習得に取り組むことができるでしょう。

よって、リスキリング(Re-skilling)は、個人や従業員が新しいスキルや能力を習得し、異なる職種や業界での雇用機会を追求するためのプロセスを指します。この概念は、現代の急速な技術革新や経済の変化に伴って、従来のスキルが陳腐化し、新しいスキルが求められる状況で注目されています。

リスキリングは、以下のような状況で重要な役割を果たします。

  • 技術革新
    新しいテクノロジーやデジタルツールの普及により、従来の仕事の仕方やスキルセットが変化しています。これに対応するために、従業員は新しい技術スキルを習得する必要があります。
  • 業界の変化
    産業や市場の変化により、従来の業務が減少し、新たな需要が生まれることがあります。従業員は、新たな分野や職種に転身するために、新しいスキルを身につける必要があります。
  • 自己成長と雇用機会
    個人の職業的な成長を追求するために、自分のスキルセットを拡大し、多様な職種や業界での雇用機会を増やすためにリスキリングが行われます。

企業や政府は、従業員や市民がリスキリングを行うための支援プログラムやトレーニングを提供することがあります。これにより、雇用の機会均等や労働力の適応性が向上し、急速な変化に対応する能力が高まることが期待されます。

現代は「第4次産業革命」に突入しており、人間に代わってロボットに業務を任せるケースが増えると言われている。以下の業務は、その中の代表例です。

  • 商品の製造
  • 事務作業
  • 倉庫での肉体労働

業務がロボットに置き換えられると、その業務に携わっていた従業員たちは、働く場を失ってしまう恐れがある。しかしロボットに置き換えられたとしても、下記のように新たな業務も出てくる。

  • ロボット内のプログラムを設計する業務
  • 社内システムを管理する業務
  • システムの管理に携わっている従業員を取りまとめる業務

とは言ってもスキルを習得していなければ、上記のような業務をこなすことは難しいでしょう。そこで登場するのがリスキリングです。リスキリングによって、これらの業務に関係するスキル・知識を習得しておけば、従業員は別の業務に就けることが可能になるのです。

ではなぜリスキリングが話題になっているのでしょうか?ここからは、国内でリスキリングが話題になっている理由を紹介します。

それはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が世の中に浸透してきたためです。

DXとは社内のデジタル化を進める取り組みで、コンピュータやAIなどのデジタルを活用しながら業務を行うことで、業務効率のアップや良質なサービスの提供など、事業運営に良い影響をもたらします。

DXを推進している企業は少なくないものの、現場で実践するにはデジタルやコンピュータに関する知識を習得する必要があります。DX関連の業務に携わったことがない方は、聞き馴染みのないスキルを習得しなければいけないのです。結果、リスキリングが注目されるようになってきました。

さらにAIの発達が大きいです。ChatGPTに代表される驚異的なアウトプット能力を持ったジェネレーティブAIがどんどん出てきており、これまで大丈夫だと言われていた創造的な仕事に関しても影響が出始めているためなのです。