パーパス経営について

最近、「パーパス経営」という経営手法が世界的に注目されています。
 日本でも大企業を中心にパーパス経営に取り組む企業が増えており、今後もこの流れは続くと考えられています。しかし、パーパス経営とは一体どういったものなのか、わかっていない方も多いでしょう。

パーパス経営とは、社会に対する自社の存在意義を明確にし、その存在意義をもとに経営することを指します。「パーパス(Purpose)」は、「目的」や「決心・決意」などを意味します。経営においてパーパスとは、会社が存在する目的(存在意義)を指しています。つまり、パーパス経営とは、パーパス(存在意義)を明確に打ち出し、社会に貢献していく方法を思索・実践していく経営のことです。

 では、なぜパーパス経営を実施する企業が増えているのでしょうか?理由は以下のとおりです。

  • エコロジカル消費の普及
    エコロジカル消費とは、消費者が自分の欲求や流行りではなく、社会的課題の解決に取り組んでいる企業をサポートするために消費活動をおこなうことです。たとえば、食品ロスをなくすための取り組みをおこなっている企業の製品を購入することや、地元の産物を積極的に購入することなどが挙げられます。消費者庁の調査では、エコロジカル消費の認知度が2年間で約2倍以上に上昇しており、徐々に普及していることがわかります。企業はエコロジカル消費をおこなう消費者に認められるために、自社の社会貢献のあり方を示すパーパスを掲げる経営が求められるようになったのです。
  • 新たな価値観をもつ世代の登場
    新たな価値観をもつ世代が社会に登場し始めたことも、パーパス経営を実施する企業が増えている理由のひとつです。
    2000年以上に成人となった「ミレニアル世代」は、東日本大震災やリーマンショックなどといった大きな事件や自然災害を体験してきました。そのため、社会問題への関心が高いことが挙げられます。社会問題への関心をもつ新たな世代から共感を得るためには、パーパス経営を実行していくことが重要です。
  • 投資の評価基準の変化
    昨今、金融市場において投資の評価基準が変化してきています。従来では主に財務情報だけに注目して投資をおこなうことが一般的でした。しかし、社会問題に関心が集まっていることや、国連サミットでSDGsが採択されたことで、「ESG投資」という考え方が広がっています。ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の観点を取り入れた投資です。そのため、パーパス経営をおこなっている企業が投資を受けやすくなっています。

ここからは、企業がパーパス経営を実施するメリット、デメリットをみていきましょう。

パーパス経営のメリット

  • ブランディングに繋がる
  • 従業員のモチベーション向上
  • 変化の早い時代に対応できる

パーパス経営の注意点・デメリット

  • かえってステークホルダーの信頼を損ねる恐れがある
  • ボランティアと混同しない

そして、実際にパーパス経営に取り組む方法についてみてみましょう。まずは「自社のパーパスを明確化・言語化する」ことです。企業理念や市場での立場、事業内容などから自社に合ったパーパスを設定しましょう。また、パーパスが曖昧だと行動指針が定まらず、不安定な組織となります。パーパスは必ず言語化し、社内・社外問わず誰の目から見ても明確なものにすることが重要です。

そして、「パーパスを会社全体に浸透させる」ことです。自社のパーパスが明確となったあとは、社内全体にパーパスを共有します。経営層だけではなく、従業員に浸透していなければ会社の足並みが揃いません。従業員が納得してパーパス達成に向けて仕事に取り組めるように説明しましょう。パーパスが形式化しないように、達成のための具体的な手段を会社全体に示しましょう。